簿記は、取引される物の性質と取引の内容(勘定科目)の組み合わせ。
取引される物の性質
資産:金銭や金銭価値のあるもの
負債:他人からの借入によって調達した資金
純資産(資本):経営者の投資によって調達した資金やお店の利益
費用 *お店が収入を得るために必要な費用
収益
貸借対照表と損益計算書の違いから以上の性質を使いわける。
勘定科目
売上:収益カテゴリ
発送費:売上にかかる費用。費用カテゴリ。
仕入諸掛:商品の仕入れにかかる費用。仕入原価に含まれるため、仕入としてまとめて記入される。
車両運搬具:営業に利用する際の車。原価償却の対象。登録料も取得原価に含まれる。
*売却する場合も車両運搬具と記入する。
建物:資産カテゴリ。原価償却の対象。登録料や仲介料も取得原価に含まれる。
土地:資産カテゴリ。原価償却の対象外。整地費用や仲介手数料なども取得原価に含まれる。
*売却する際には、付随費用も上乗せされていることを忘れない。
備品:1年以上使えて、10万円以上の商売に必要な物品。資産カテゴリ。原価償却の対象。
→費用カテゴリじゃないのは、1年以上使えるから。一時的な費用ではないから。
修繕費:本来の固定資産の価値増加や、耐用年数の延長をもたらさない場合に使われる。
*金銭により固定資産の価値が増加した場合、取得原価に加えられる。資産の増加。
減価償却費:定額法で求められる。減価償却費 = (取得原価 - 残存価値) / 耐用年数
記入法は、直接法(取得原価から引いていく方法)と間接法(減価償却累計額に加算していく方法)がある。
*減価償却累計額は負債カテゴリ、減価償却費は費用カテゴリ。
*間接法では、取得原価の科目が減らない。
消耗品費:1年以内に使い果たす小額なもの。コピー用紙、トイレットペーパーなど。費用カテゴリ。
通信費:郵便切手、ハガキも含まれる。
雑費:消耗品に入らないようなもの。クリーニング代やお茶菓子など。費用カテゴリ。
租税公課:商売にかかる税金。費用カテゴリ。
支払家賃:店舗だけでなく倉庫も含む。費用カテゴリ。
支払保険料:商売に必要な保険料の支払い。費用カテゴリ。
繰越:ひと月で一区切りのため現金は来月に繰り越す。次月繰越、先月繰越と表記する。
仮払金:出張などのために一時的に確保しておくための費用。資産カテゴリ。
仮受金:内容不明の入金があった際に一時的に利用する勘定科目。負債カテゴリ。
現金過不足:実際の現金と帳簿上の現金が一致しないときに使用する勘定科目。原因がわからないまま期末を迎えた場合は雑益または雑損という勘定科目にする。
当座預金:小切手での支払いをした場合の科目。小切手で支払いを受けた場合は現金とする。小切手という勘定科目はない。
当座借越:当座預金の残高を超えた引き出しを当座借越という。銀行から一時的に借入している状態。
*当座:借越か預金にかかわらず、ひとくくりにした勘定科目。
*当座に入金する時に、当座借越がある場合はまずそこが返済される。
買掛金:代金の後払いのこと。いわゆるツケ。負債カテゴリ。仕入にしか使えない。
売掛金:代金を後で受け取ること。資産カテゴリ。
*買掛金、売掛金は主語が記入者であるとして考える。
未払金:お店で売る以外の物を後払いで購入した際に使う勘定科目。
未収金:商品以外の物を売却した際に使う。
*掛金とは、その取引が商売かどうかで区別する。
支払手形:負債カテゴリ。
受取手形:資産カテゴリ。
*小切手と約束手形の違いは、小切手は直ぐに現金にできるのに対して受取手形は支払いを遅れさせることができる。
*手形には、約束手形(二者間で行われる)と為替手形(第三者に支払を委託する)がある。いずれも、勘定科目は支払手形、受取手形が使われる。
*取立てを依頼した時点では、取引は成立しない。
裏書譲渡:手形を支払などのために他人に譲渡すること。
手形売却損:支払期日より早くに手形金額を受け取ることによる売却損額。
*受取手形記入帳には、手形種類(約手、為手)と、てん末(裏書譲渡、割引、入金)。
*約束手形と為替手形では、名宛人の役割が受け取る、払うと異なることに気をつける。
前払金:代金の一部として支払う手付け金。資産カテゴリ。仕入でも商品を受け取るまでは仕入にならないため、前払金とする。
前受金:負債カテゴリ。売上は客に商品を渡すまで売上とはいわない。
*後に、商品を渡さなければならないことを考えれば、負債。
借入金:負債カテゴリ。
支払利息:費用カテゴリ。
貸付金:資産カテゴリ。
引当金
貸倒損失:貸し倒れによって、売掛金や受取手形を回収できなくなったときに負担するお金。費用カテゴリ。
貸倒引当金:決算に前もって貸倒を見積もるための勘定科目。
*実際に貸倒が成立するまでは、売掛金を記入することができないから一時的にこの勘定科目を設ける。資産の一部をこの引当金に移しておく。
*引当金を超える場合は、貸倒損失で補う。
貸倒引当金繰入:以前に設定した引当金よりも実際の金額が大きかったときに繰り入れるために使う勘定科目。費用カテゴリ。
貸倒引当金戻入:引当金が見積もりより多かった場合に使われる。
償却債権取立益:貸倒が後になった回収された場合に使われる。
給料:費用カテゴリ。
預かり金:従業員の社会保険料や税金を一旦預かってから、納税するため預かり金という勘定科目を使う。負債カテゴリ。
*所得税預かり金、社会保険預かり金
立替金:資産カテゴリ
従業員立替金:会社内部の従業員に対する場合に使う。
商品券:負債カテゴリ。
他店商品券:資産カテゴリ。
売買目的有価証券:売買を目的とした株および国債・地方債・社債などの公社債の購入に使う勘定科目。資産カテゴリ。
有価証券売却益:収益カテゴリ。
有価証券売却損:費用カテゴリ。
有価証券利息:公社債によって利息を受け取った場合に記入。
受取配当金:収益カテゴリ。配当金を受け取った場合に記入。
*金額は取得原価で記入する。
*手数料などの付随費用なども取得原価に加える。
*買掛金ではなく、未払金として処理される。
有価証券評価益・有価証券評価損:常に変化する時価を、期末で調整するために使う勘定科目。この処理法を、時価法という。
小口現金:小額な支払に備えた、手元に置くための現金。
定額資金前渡法(インプレスト・システム):会計係が用具係に支払予定金額を予め渡しておき、一定期間が経ったら使用した分だけの金額を渡して、常に同額の小口現金が保たれるようにする方法。
メモ
資産と費用は増加したら左(借方)。それ以外(負債、純資産、収益)は逆と憶えておく。
←資産、負債、資本、費用、収益いずれも貸借対照表や損益計算表で書かれている位置が増加(+)になっている。だから、減少(−)はその逆。
買掛金、売掛金は主語が記入者であるとして考える。
売掛金は売ることで発生するものだが、収益そのものではないので資産に分類される。
期末資本−期首資本=当期純利益(財産法)
*貸借対照表では、資本金がいつ(期首?期末?)なのかに気をつける。
資産=負債+期末資本(=期首資本+純利益)
受取手数料は、収益。
相手勘定科目が2つ以上あるときは、諸口を使う。
商品売買益は、売価と原価の差額。
商品は、原価分の金額しか減らない。商品売買益と混同しないように気をつける。
仕訳帳→総勘定元帳、試算表→決算書(貸借対照表、損益計算表)の流れ記入する。
*仕訳帳の元丁とは、総勘定元帳のページのこと。
*総勘定元帳の仕丁は、仕分帳のページ。残高式は、借貸の位置とその金額を記入すればいいだけ。
試算表は、仕訳帳から元帳への記入が正しいかの確認、各勘定の状況を把握して手続きを円滑にするのが目的。
*精算表は、試算表から財務諸表の作成までを1つにまとめたもの。正式な手続き書類ではない。残高と残高の位置をまとめて把握するための表。
*これらは決算日に合わせて作られるものだから1年の取引をまとめるのだ。
*下に合計金額を記入することを忘れない。
当期純利は、損益計算表の借方と貸借対照表の貸方に属する。
Tフォームは、次期繰越と損益を使うことで借方と貸方の金額を一致させて締めなければならない。この時、繰越す科目は繰越試算表に記入する。
損益とは、収益と費用をひとつのカテゴリにまとめるための勘定科目。
決算振替仕分とは、損益計算表の当期純利益を貸借対照表の資本金勘定に移すことを記録するための表。収益の損益への振替、費用の損益への振替、損益の資本金への振替の順に記入すればいい。
決算は、一年を通した取引の全てをまとめる。
合計残高試算表で、左右の合計が一致するか確認をする。
資産、負債、資本、収益、費用で構成されているので、資本には当期の純利益は加えないで記入する。
現金出納帳は、現金の収支のみを記入する帳。当座預金などはいれない。
分記法:商品、商品売買益を用いる記入方法。
3分法:仕入、売上、繰越商品の3つの勘定科目を使って記入する方法。
*3分法の場合、繰越商品とは区別しなければならない。
売上総利益 = 売上高 − 売上原価
売上原価 = 期首商品棚卸高 + 仕入高 − 期末商品棚卸高
仕入帳:仕入取引を記入するための帳簿。
1,日付、仕入れ先、支払方法、品名、数量、単価、合計金額を記入。
2,仕入値引、仕入戻しについては赤字
3,締めるときは、総仕入高から赤字の仕入値引・仕入戻しの合計を引いて、純仕入高を計算する。
*金額の部分は合計金額ではない。
売上帳:売上を記録した帳簿。仕入帳と同じ。
*仕入帳、売上帳はともに商品の出し入れは考えない。商品有高帳と区別する。
商品有高帳:商品自体を管理するための帳簿。先入先出法と移動平均法がある。
*払出には、売価ではなく、原価で数量の内訳を記入する。
*受入と払出の数量と金額が一致することを確認する。
*売値に対する値引きは、原価には関係ないので記入しない。
①先入先出法
先に仕入れた商品から先に売り出す方法。
仕入単価が異なるものが残高にある場合や、同時に売り出した場合は括弧({ )でくくる。
②移動平均法
単価が異なる商品を仕入れた都度、平均単価を計算し、残高欄の単価とする方法。
人名勘定:取引先を把握しやすくするために、勘定に商店名などを使用する方法。
* 語尾に買掛金や売掛金は付けずにそのまま使う。
売掛明細書、買掛明細書:取引先との売掛、買掛の残高をまとめた表。
手形貸付金・手形借入金:借用証書の代わりに手形が用いられる。
引出金は、資本金からまかなわれる。
戻り高:なんらかの理由で返品されること。