2015年7月1日水曜日

行動経済学まとめ

既存の理論では説明できない現象をアノマリーという。

人間は判断する際に、システム1からシステム2へと流れて機能する。

システム1では、直感的で速い判断がされます。それらをここでは、ヒューリスティクと呼ぶ。ただ、不完全な判断につながる場合があるのが欠点。
ヒューリスティクは、規則性があり予見が可能な場合に有効である。

システム2では、論理思考が使われる。

ヒューリスティク

ヒューリスティクは主に、
利用可能ヒューリスティク
代表性ヒューリスティク
確証ヒューリスティク
感情ヒューリスティク
アンカリング
に分類される。

利用可能ヒューリスティク

頭に浮かぶ易い情報から物事を判断してしまう傾向。
受動喫煙よりも交通事故で死亡する人の方が多いと感じてしまう等。実際には、受動喫煙での死亡が多いが、交通事故の方がニュースで報じられるため、そのように感じてしまう。

クライマックス効果
利用可能ヒューリスティクの一種。最後に記憶に残った情報が人間の意思決定に強い影響を及ぼす傾向。

初頭効果
クライマックス効果とは対象的な現象。最初の情報が強く記憶に残る現象。


代表性ヒューリスティク

物事に対しての代表的な印象で判断してしまう傾向。ステレオタイプの原因。
リンダ問題が一例。連言錯誤とも言う。

小数の法則
母数集団が少ないことを無視すると判断を誤りやすいという法則。ルーレットやサイコロでは実行回数が少ないとかたよった結果になり易いが、これは小数の法則によるもの。数を重ねれば平均的な結果になる。

大数の法則
母数の数が十分にあると結果は平均へ回帰するという法則。小数の法則の対義なる。


確証ヒューリスティク

人は直感や思いつきで正しそうな答えを見つけたら、「これに違いない」とその答えに固辞してしまう傾向。思考停止に陥りやすくなる。


感情ヒューリスティク

判断する際に個人的な感情に左右されてしまう傾向。
株式市場と天気の関係など。

ハロー効果
限定的な情報から誤った判断をする傾向。
例えば、学歴や職業からその人が素晴らしい、信頼できるなどと判断してしまうこと。


アンカリング

意思決定がアンカーに引っ張られる現象。
お店などで通常価格でアンカリングされるため、割引価格で表示されていると「お得」に感じること。

ドア・イン・ザ・フェイス
アンカリングの利用例。
営業などで最初に高い値段でふっかけて、その後に譲歩することで相手を乗せること。
交渉においても最初に無理な要求してから譲歩していくことで、相手も受入れ易くなる。

プライミング効果
あらかじめ見聞したことに無意識のうちに影響を受ける現象。
アンカリング効果と関連する。



プロスペクト理論

保有効果などのアノマリーを説明するための理論。
プロスペクト理論の主な特徴は、
同じ規模の利得と損失を比較すると、損失の方が重大に見えること。(価値関数)
発生する確率によって人はリスク回避的にもリスク志向にもなること。(確率加重関数)
である。

保有効果
自分が所有しているものの価値を高く見積もる現象。アノマリーの一種。

フォールス・コンセンサス効果
自分が良いと思う物は他人にとっても良いと考えてしまう現象。アノマリーの一種。

損失回避性
私たちは利得よりも損失を重大に見てしまう傾向。
価値関数では、損失を1,5倍から2,5倍ほど重大に感じてしまうのだ。
このことから、保有効果の説明ができる。
例えば、愛車を売却する際に愛車を手放すという損失を高く見積もるため、愛車に対して価値が高くなってしまうのだ。

現状維持バイアス
現状維持を好んでしまう傾向。
新たな選択する際に、損失を重大に見積もるため、それに対する利得が割に合わないという考えに至ることから生まれる。

感応度逓減性
価値関数では、利得や損失は増えるにつれて1単位当たりの増加分が減少していく。
これを感応度逓減性と呼ぶ。
例えば、1億円と2億円だと価値では2倍だが、実際に感じる喜びだと2倍もないはず。
テレビショッピングでも、商品をセットにして売るのでなく、ばらして売ることで満足感を与えられる。また、何かを買う場合はまとめて購入することで損失の痛みを小さくできるのだ。

参照点
価値関数の原点は絶対的なものではなく、状況に応じて変化するのだ。これを参照点という。つまりは、相対評価なのだ。

確率加重関数
客観的確率が小さい領域では、主観的確率は実際よりも大きくなる。
一方で、客観的確率が大きい領域では、主観的確率は実際よりも小さくなる。
このグラフが確率加重関数。
「アレのパラドックス」においても、小さな確率を過大評価したためリスク追及型(リスクを取ろうとする)。大きな確率を過小評価し、リスク回避型(リスクを回避しようとする)。


フレーミング

人の判断は、フレーミング(表現の仕方)で左右するのだ。

初期値効果(デフォルト効果)
人がある状態からの変化を嫌い、元ある状態にとどまる傾向。
投票用紙が例になる。ある政策に対して、賛成の◯を付けてもらうのか、反対の×を買いてもらうのかで結果は異なる。
○×の意思表示を求めるものをオプトイン、意思表示がなければ同意したともなすものをオプトアウトと呼ぶ。

比較可能性
何か売りたい商品がある場合、それよりも高価な製品を用意することで比較対象を設ける。これにより、買い手は買い易くなる。
または、同じジャンルの商品を用意し、1つだけ優れた商品にし、あとの商品は「おとり」に使う手段もある。
そして、無難な真ん中を選ぶを傾向を利用して、意図的に中級機をつくることもある。
ただ、人は選択肢が多過ぎると選択不全に陥る。

希少価値
意図的に数量を少なくし、希少価値を生み出す手段。
時間限定、期間限定、限定版、シリアル番号。

ハーディング効果
人の群れがさらなる群れを呼ぶこと。


その他

時間割引率
今日手に入る物よりも、明日手に入れる物の方が価値が低い。
時間割引率は、将来の価値を現在の価値に換算する際の大きさを表す。

双曲型割引
私たちは近い将来についてはせっかち(割引率が高い)で、遠い将来については我慢強い(割引率が低い)という概念。

符号効果
受取にはせっかちだが、支払にはのんびりという現象。

上昇選好
楽しみを後にとっておくという考え方。


メンタル・アカウンティング
私たちは心の中に食費や交際費などのあらゆる口座を持っている、という考え方。
例えば、コンサートを見に行くとする。チケットを買うためのお金、またはチケット自体を失くす場合では心の口座は異なるのだ。お金を失くす場合はチケット費用の口座とは関係ないため、別のお金でチケットを買うだろう。一方で、チケット自体を失くした場合は、チケット費用の口座が二重負担になってしまい損した気になる。結果として、チケットは購入しないのだ。

現金とコーラの実験
人はお金に手をつけることには抵抗があるが、お金以外のもの(コーラなど)では手をつけやすいのだ。

社会規範と市場規範
託児所の遅刻のルール。
世の中には、市場規範を持ち込むと腐敗する場合がある。その一例。













                           

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